富士山登山で日帰りは可能?注意点は?

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富士山の山小屋が快適ではない、というのはよく聞きますよね?そうすると、日帰りで行けないか、と考える人もいるんじゃないでしょうか?日帰り富士山登山は可能?不可能?

結論から言うと富士山日帰り登山は可能です。ただ、戦略的にスケジュールを組まないと詰んでしまいます。体力ももちろん必要ですが、ルート選びとスケジューリングが重要になってきます。今回は、その戦略をご紹介します。

今回ご紹介する方法は、決して夜通し登る、「弾丸登山」ではありません。そのことについても触れていきます。

これを書いている私は、富士山以外でもガイドをしていて、富士山は300回以上登っています。その経験に基づきかいていきたいと思います。

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ルートは富士宮口一択

ルートは富士宮口でしょう。御殿場口、須走口では五合目の標高の問題で日帰りがかなり難しくなります。吉田口という選択肢もありますが、剣ヶ峰を狙うとなると、吉田口からのお鉢回り分がロスタイムとなります。日帰りだと無駄な時間を少しでも省く必要があるため、五合目の標高が最も高く、剣ヶ峰に一番近い、富士宮口の往復が現実的でしょう。

富士宮口の標準時間は登り4.5時間、下り2.5時間程度。合計7時間です。剣ヶ峰往復分も含め少なくとも2時間程度のバッファを見たほうがいいでしょうから、全体で9時間としてスケジュールを考えていく、これが日帰り富士山登山を成立させるために必要なことになります。

逆に、そのスケジュールに乗らないときに、どのタイミングで下山を決めなければならないかも検証します。

五合目何時発がリミットか

下山から逆算しましょう。タクシー利用をしないと考えると、マイカーでも水ヶ塚駐車場までのシャトルバスが20時発。バスだと三島行きのバス20:05発(7/13~8/25の土日祝 運行)か富士宮行きのバス19:00発(7/12~9/1)なので、三島行きのバスがある時期かマイカーなら11時、それ以外の時期なら10時に出発すれば間に合うことになります。

東京朝発、大阪朝発、名古屋朝発で可能か検証

五合目に11時ならば、東京発新富士着の始発(東京06:33<こだま631号>07:36新富士)で新富士発8:25のバス、五合目着10:30で可能です。

もう少し早い、富士宮発8:10の富士宮五合目行きのバスも、早朝になりますが、東京発で可能です(東京04:55<京浜東北線>5:31東神奈川5:35<横浜線>5:44新横浜6:00<ひかり493号>6:40静岡7:00<ホームライナー沼津2号> 7:24富士7:28<身延線>7:48富士宮)。乗り継ぎが大変ですが、これで行けば、五合目に9:30に到着します。

三島経由だと、東京発5時20分の東海道線に乗れれば、三島着が7時21分。7時40分のバスに乗れて、五合目着が9時48分。三島までの乗り換えが必要ないので、これが一番スマートな方法かもしれません。

名古屋発だと、新富士への始発が6時20分発、7時50分着。これで五合目10時30分の到着が可能です。

大阪発だと、始発での乗り継ぎは不可能なので、夜行バスを利用することになります。

下山後帰れるかを検証

下山で一番遅いバスは三島行きとなります。

富士宮行きもありますが、下山後の交通の便を考えると選択肢としては出てきません。新富士行きよりも三島行きのほうが遅くなります。

結論から言うと、20時5分発のバスで名古屋、東京は帰れます。 ただし、7/13~8/25の土日祝しか運航していません。その1本前、18時35分発なら新大阪まで帰れます。

あとは、東京、名古屋、新大阪からの皆さんのご自宅までの交通を考えて、調整してみてください。

日帰り富士登山をするメリット

日帰り登山をするメリットは、山小屋の宿泊代を浮かす、快適ではない山小屋泊を避けるだけではありません。何より、高所にいる時間が短くなるので、高山病のリスクが軽減します。

例えば、8合目に宿泊すると、夕方到着、翌朝登頂後に下山してくるまで、3000m以上に12時間以上いることになります。それが日帰りだと数時間。もちろん順応できないリスクはありますが、高所、低酸素下にさらされる時間が少ないのは、体へのダメージも当然減ります。

天気への対応もきちんとできれば山での滞在時間が短ければリスクが減ることになります。山小屋に宿泊すると、夜中起きてみると荒天、みたいなことは多々あります。これが、事前に察知できれば下山を開始すればいい。そのほうが安全です。

日帰り富士登山をするときの注意点

この日帰り富士登山は、天気がいい状態で、体力のある人が、ひどい高山病にならずに、というのが条件になります。

まず、天候の変化に常に気を使いましょう。行く前から天気予報を気を付けてみておいて、良さそうな日に決行してください。そして、登っている間も無理をせずに、天気が予想より悪そうならば再チャレンジすることにしてさっさとあきらめましょう。特に、八合目の池田館がほぼちょうど中間点になります。ここを越えると、ペースが落ちる人が多く、戻るのも大変になります。一つの引き返すチェックポイントと言えるでしょう。

体力の変化にも気を使って、引き返すチェックポイントとチェック時間を決めておきましょう。

目安は、六合目から新七合目、新七合目から元祖七合目、元祖七合目から八合目がそれぞれ60分、50分、40分。この時間で歩けないようではその先の行程が厳しくなります。10時30分発だとして、11時30分、12時20分、13時。13時に八合目池田館を越えられれば、第一関門通過、と言えるでしょう。

池田館からは30分おきに小屋があって、コースタイムならば1時間半で富士宮口の頂上ですが、ここは30分程度のバッファを見て、15時に富士宮口の頂上。剣ヶ峰往復に30分で15時30分。少なくとも16時には下山を開始しないと、2時間半程度の下山時間が確保できません。

高山症状も、少し時間差で出てくることもあります。症状が出る前に対策をしておきましょう。

弾丸登山との違い

弾丸登山とは、夜中に五合目出発、夜通し登山して、頂上でご来光を見ようという登山です。

五合目から一気に上がるため順応もないうえに、寒い中登らなければなりませんし、初心者には全くお勧めしない登り方です。確かに、無理があります。睡眠不足な上に、温度も低く、体力を奪われます。

日帰り富士登山は、その中で、ご来光をあきらめて、その分環境の良い間にだけ登山をしようという登山で、行程が似ていても弾丸登山とは全く異なります。

まず、日中に登るため、山小屋泊のご来光登山よりも行動する時間帯に無理がありません。

そして、夜中の寒い時間帯に登らないので、防寒着も比較的少なくて済みます。荷物が少ないということはそれだけ楽に登れるということです。

また、何より、富士宮口のいいところは登山中の景色です。日中であれば太平洋が広がるこの景色を満喫しながら登ることができます。

まとめ

  • 東京発、名古屋発でそれぞれ日帰り富士登山が可能。大阪発は、前夜発の夜行バスで夜行日帰りが可能
  • 天気がいいこと、体力があること、ひどい高山症状が出ないことが条件
  • 弾丸登山とは全く異なり、メリットも大きい
  • 無理しないスケジューリングと、引き返す時間的チェックポイントを先にきちんと決めておくことが大事