富士登山の高山病対策は3つしかない。300回以上案内しているガイドが断言します。

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富士登山にチャレンジしようとしたとき、高山病が不安じゃありませんか?

私は、富士登山のガイドを20年間、300回以上して、1万人以上のお客様をご案内しています。そして、登山前の説明会などで皆さん不安に思っていらっしゃるのが高山病。

確かに、高山病は、一度起こってしまうと、頭が痛くて気分が悪くて、登るどころじゃありません。

でも、高山病はしっかり対策すればほとんどの人は大丈夫。

それも、登山中にちょっと気を使えばできる、3つのポイントを守るだけ。トレーニングは要りません。

実際、私がガイドしている中でも、出発地から同行してしっかりバスの中で高山病対策について話すときと、五合目から同行するときとでは、かなり登頂率が違います。

その対策3つをご紹介しますので、ぜひ富士登山の前に覚えていってくださいね。

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そもそも高山病とは

高山病は、高地で酸素が欠乏することによって引き起こされる病気です。症状には、頭痛、疲労、イライラなどがあり、より重症になると、息切れ、錯乱、そして昏睡などが現れます。

MSDマニュアルより

富士山では酸素がどのくらいになるかわかりますか?

答えはこちら。

場所標高酸素濃度
吉田口五合目2300m76%
富士宮口五合目2400m75%
吉田口七合目・東洋館3000m70%
富士宮口元祖七合目3000m70%
富士宮口八合目・池田館3250m68%
吉田口本八合目・トモエ館3400m67%
剣ヶ峰頂上3776m64%

3776mだと、酸素は平地の7割程度。酸素が少なくなるので、体が危険信号を出す、これが高山症状のはじまりです。酸素が少ないよー、なんかおかしいよー、って。体にとってはおかしいところに行っているから当たり前の症状なのです。むしろ、体が危険信号出さないほうがヤバい。

よく、「富士山に行ったけど、高山病は全然大丈夫、何も感じなかったよ」っていう人いるじゃないですか?あれは鈍感なだけ。3776mまで上がれば全員何らかの症状が出ます。ただ、症状の大きさも、感じ方も人それぞれ。だから、高山病対策、というのは、この症状を少しでも和らげること、になります。

最初は、ちょっとぼーっとするとか、あくびが出るとか眠くなるとかそういう症状から始まります。そこから、吐き気がしたり、頭痛がはじまると立派な高山病、です。

高山病になってしまったら?

登りで高山病になってしまったら、残念ながらそこから症状がよくなる、というのは考えにくいです。だって、標高を上げていくのが登山。症状は普通に考えてひどくなります。

症状が出たら、まずは休憩を多く挟んで体の負担を軽くします。それでもよくならない場合には、下山を選択するしかありません。

あと、まれにですが、下りで高山症状が出始める人もいます。登っているときは大丈夫だったのに、下山開始1時間ぐらいで頭痛や吐き気が出てきて、アレっ?って思うパターン。

これは、登頂しているときは興奮して感じてなかったのと、体の反応が時間差で出るためです。そういう時は、体が疲れていても長く休まずにひと踏ん張りして頑張って標高を下げましょう。標高が低くなると自然と症状が和らいできます。

高山病対策その1 : ゆっくり歩く

では、高山病対策その1。ゆっくり歩くこと、です。

同じ距離を進むのに、例えば家から駅まで走った時と歩いた時を考えてみてください。

走った時は、息が切れている = 酸素を多く必要としている、歩いたときは息が上がらない = 酸素をそれほどひつようとしてない、ですよね。

登山は競走ではありません。むしろ、多くの人が狙うご来光登山だと、ゆっくり進まないと頂上での待ち時間が寒くて仕方ありません。

ゆっくり進めばそれだけ体が必要とする酸素が減り、呼吸で得られる酸素が減っても体へのダメージが少なくなります。ゆっくり行動するのは、歩いているときだけではなく、休憩中、トイレに行くとき、すべてです。

特に子供を連れていく場合は元気な時にはしゃいで走ってしまいます。コントロールしてあげないと高山病になりやすいので気を付けてください。

高山病対策その2 : 深い呼吸をする

深呼吸するとその分酸素が多く取り込まれます。深呼吸や腹式呼吸などの深い呼吸をを心掛けましょう。

特に、吐くときに口をすぼめて、笛を吹くように勢いよく空気を吐くと、肺の神経が刺激されて酸素の換気率が上がります。

よくガイド中におススメしているのが、歩くリズムに合わせて吸う、吐くを繰り返すこと。それによって、無意識に深い呼吸ができるようになります。

高山病対策その3 : 水をたくさん飲む

水分を新陳代謝させることが高山病の予防に重要です。エベレストみたいな8000m級の登山だと1日5-6リットル飲んだりします。私が毎年行っている約6000mのキリマンジャロではお客様に2リットルぐらいの水を飲んで、おしっこで出して、を繰り返します。

よくある間違ったパターンが、トイレを心配して水分を抑えている、というもの。富士山なら小屋もたくさんありますし、小屋ごとにトイレもあります。どんどん飲んでどんどん出しましょう。

量の目安は、1日1.5~2リットル。おしっこが黄色くなったら、まさに黄色信号。もっと飲みましょう。

1日2リットルということは、2日で4リットル=4キロ。この重さはかなりの負担になりますので、最初の1リットルぐらいは持って、あとは小屋で買うのがいいと思います。

おまけ : 裏技もあります

実は、裏技もあります。

酸素ボンベ、と思ったアナタ。酸素ボンベはおススメしません。

裏技というのは、ダイアモクス(成分名アセタゾラミド)という薬。ただし、れっきとした処方薬で医師の処方箋がないと買えません。

ただ、メリット・デメリットがあって、キリマンジャロに行くお客様には勧めているのですが、日本の山で使うのことを勧めていません。

その理由をこちらに書いていますので、もしよければお読みください。

自分が高山病になっているかどうかを知る方法

パルスオキシメーター(血中酸素濃度計)というものがあり、指に挟むだけで、自分の血中の酸素濃度(SPO2)が分かります。

100%を最大としてパーセントで出ますので、自分が高山病にどのくらいかかっているかの目安になります。ただ、体重計みたいにピタッと数字が出るものではなく、つけている間ずっと数字が動いています。あまり細かい数字に一喜一憂しないようにしましょう。

昔はパルスオキシメーターは数万円する高価なものでしたが、今は数千円で手に入りますので、グループで1つ持っておいて損はないと思います。

  

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